日本人血液悪性疾患患者におけるGVHD無再発生存

摘要

Graft-versus-host disease-free, relapse-free survival (GRFS)は GVHD 予防試験における意義深い複合エンドポイントであり，患者中心の成功も意味する。本総説では，造血細胞移植学会全国データベースを用いて行われた，日本人血液悪性疾患患者に対する同種造血細胞移植23,302例のGRFS研究を概説する。1年GRFSは全体で41%であり，骨髄移植は末梢血幹細胞移植よりGRFSが優れた。GRFSはHLA適合血縁骨髄移植で最も高く，HLA不適合があると低下した。単一臍帯血移植のGRFSはHLA適合非血縁骨髄移植とほぼ同等であった。GRFSを高めるほかの因子は，女性患者，標準リスク疾患でのATG使用，最近の移植，女性ドナーから男性患者への移植以外，自家移植歴がないこと，骨髄破壊的移植，CMV抗体陰性，tacrolimusを用いたGVHD予防であった。GRFSは移植ソースやGVHD予防法を選択する際にも參考となる指標である。