腹水濾過濃縮再静注法で症状が緩和した 臍帯血移植後後期に発生した難治性腹水症

摘要

同種造血幹細胞移植後に発生する難治性腹水症として，肝中心静脈閉塞症（veno-occlusive disease, VOD) ないし類洞閉塞症候群(sinusoidal obstruction syndrome, SOS)がよく知られている。VOD/SOSの多くは 移植後3週間以内に発症し，体重増加，有痛性肝腫大， 黄疸，腹水が生じる"。VOD/SOSの発症要因として移 植前処置における化学療法や放射線照射による類洞内皮 細胞や肝細胞の傷害が考えられている。VOD/SOSの予 防としてdefibrotideが有効との報告があるせ,本邦で は保険適用外である。VOD/SOSの治療には利尿剤ゃァ ルブミン投与が行われるが治療抵抗性である。軽症の場 合，自然軽快することがあるが，重症の場合，多臓器不 全へと進行する。