肺野限局性すりガラス結節（GGN）増大群?非増大群間移行の検討

摘要

【目的】肺野限局性すりガラス結節（GGN）経過観察例で実際に増大群?非増大群間の移行が観察されるのかを検討した．【対象と方法】2008年1月～2013年4月まで当院CT検査でGGN（高濃度部分の有無は問わない）をともなう4年以上の経過を観察できた症例531例であった．その中，観察初期の2年以上の経過間での変化，観察終期の2年以上の経過間での変化を期間が重ならずに比較可能な症例86例の最大径の変化を計測し，濃度やその他の所見の変化を検討した．【結果】GGN最大径で初期縮小かつ終期増大した症例が3例，初期縮小かつ終期不変が1例，初期不変かつ終期縮小が2例，初期不変かつ終期不変が2例，初期不変かつ終期増大が13例，初期増大かつ終期縮小が4例，初期増大かつ終期不変が8例，初期増大から終期増大が54例であった．初期期間でのGGN最大径が同じままであった症例17例中では，進行的収縮が6例，進行が5例，持続増大症例が2例で，他は消退もしくは非腫瘍性病変がうかがわれる症例であり，明らかな不変群から増大群への移行がうかがわれる症例はみられなかった．初期期間でのGGN最大径の増大がみられた症例12例では，進行的収縮が10例，持続増大は1例，進行が1例であり，明らかな増大群から不変群への移行を考える症例はなかった．【結論】GGN増大群から進行もしくは進行的に収縮する群，また不変群から消退群へ変化がみられ，これらは異なる自然史を持つ群である可能性があると考えられた．