肺がh診療の実際～現場での有害事象対策：だれが，どのように？～

摘要

肺癌は小細胞肺癌（SCLC）と非小細胞肺癌（NSCLC）とに分類される．SCLCに対しては，併用化学療法が治療の中心である．NSCLCにおいても，術後I期以外は化学療法の適応であり，細胞障害性抗癌薬と共に，分子標的薬や腫瘍血管新生阻害薬も用いられ，免疫チェックポイント阻害薬も承認申請中である．　有害事象対策は，用いる薬剤の有害事象と患者のリスク因子を把握することに始まり，次に患者?家族への分りやすい説明と理解の確認である．発熱性好中球減少症や間質性肺炎など，生命に関わる重大な有害事象については，「xx日からxy日くらいの間に熱が出た場合はどうしますか？」，「間質性肺炎の症状は何ですか？もし症状が出た場合はどうしますか？」などと質問し，理解度を確認する．予防の説明も重要である．歯科受診を必ず行い，適切な歯のブラッシング，フロスの使用を含めて説明する．上皮成長因子受容体（EGFR）チロシンキナーゼ阻害薬（TKI）の使用時は，皮膚障害に対する保湿剤の塗布を中心に説明する．　化学療法薬の有害事象は，薬剤の作用機序から考えると理解しやすい．細胞障害性抗癌薬は，分裂増殖が盛hな細胞に作用する．正常細胞においても分裂増殖が盛hな血液細胞，毛根細胞などが障害されやすく，好中球減少，脱毛などが共通した有害事象として現れる．EGFRは血液細胞には認めず，TKIにおいては通常血液毒性は認めない．免疫チェックポイント阻害薬はT細胞の活性化を起こすため，様々な臓器に「炎症」を引き起こす可能性がある．発症は数ヶ月後になることもあり，これまでとの違いを認識する必要がある．