ペメトレキセド併用療法を行った進行非扁平上皮非小細胞肺がh患者における生存期間に関与する因子の検討

摘要

背景：プラチナ製剤とペメトレキセドの併用（P+PEM）療法は，進行非扁平上皮非小細胞肺がh（Non-Sq NSCLC）患者に対する標準治療の一つである．P+PEM療法を行った患者の予後と臨床背景，病理学的背景との相関を見るために本検討を行った．方法：当院で2010年1月から2013年12月までにP+PEM療法を開始した進行?再発Non-Sq NSCLC患者の診療録より，P+PEM療法投与状況と転帰，臨床背景，組織型，遺伝子変異，TTF1染色結果，タキサンによる治療状況の情報を収集し，治療開始から転帰までの期間と各因子との関連を検討した．結果：対象は209例であった．年齢中央値は62歳（範囲28-79歳），男性60%，非喫煙者40%，ECOGPS0-1が89%であった．CEA，CYFRAの中央値はそれぞれ10.5ng/ml，3.0ng/mlであった．93%が腺癌，7%がそれ以外と診断（large，adenosquamous，sarcomatoid and not otherwise specified）された．79%（81/102）がTTF1陽性，26%がEGFR遺伝子変異陽性，7%がALK融合遺伝子陽性，11%がKRAS遺伝子変異陽性であった．35%がシスプラチン併用，36%はベバシズマブを併用していた．奏効率は34.8%，生存期間中央値は537日であった．65%でタキサンによる治療が行われ，奏効率は15.0%であった．多変量解析ではPS不良（HR 1.33；p=0.027），腺癌以外の診断（HR2.00；p=0.047），K-RAS遺伝子変異陽性（HR 2.74；p=0.021）が生存期間の短縮と相関し，CYFRA低値（＜3.0ng/ml，HR 0.55；p=0.002）が生存期間の延長と相関した．結論：CYFRA上昇，KRAS遺伝子変異陽性，腺癌以外の病理診断は予後不良と相関していた．これらの患者に対するより良い治療法の開発が必要である．