肺癌髄膜播種に対しErlotinib+BEVを施行し，髄中ERL濃度測定を行ったEGFR変異陽性肺癌及び乳癌重複癌の1例

摘要

初診時54歳の女性．X年7月に肺腺癌（cT1aN3M1b：OSS，exon19 del）及び右乳癌の診断に至り，肺癌に対しErlotinib，乳癌に対しホルモン治療にて治療導入した．X+1年11月には肺原発巣増大を認め，CBDCA+PTX+Bevacizumabにレジメン変更し3コース投与したが，X+2年2月に頭痛嘔気及び不随意運動が出現し，PS低下（1→3）を認めた．髄液細胞診にて腺癌（exon19 del陽性，T790M陰性）を検出し，肺癌による癌性髄膜炎と診断した．乳癌に対しBevacizumab継続とし，Erlotinib+Bevacizumab併用を開始したところ，投与後5日目から症状改善を認め，以降はX+2年5月時点で治療継続中である．　本例ではErlotinib+Bevacizumab投与前と投与後8日目にErlotinibの髄液濃度測定を行ったが，Erlotinib単剤の既報と比較して同等以上の髄液濃度を認めている．　PS不良の癌性髄膜炎症例に対するErlotinib+Bevacizumabの治療経過及び併用時のErlotinibの髄液濃度測定結果の点で貴重な症例であると考える．発表時までの経過も加えて報告する．