T790M検出後にEGFR-TKI再投与とPEM併用療法を施行したEGFR遺伝子変異陽性肺癌の一例

摘要

症例は55歳女性，胸部検診異常を契機にEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌（L858R）cT4N3M1b（PLU，OSS，BRA）と診断され，1次治療はgefitinibを投与された．gefitinibの治療反応は良好であり，原発巣は縮小した．その後，原発巣の増大を認め，同部位の再生検で耐性遺伝子（T790M）が検出された．gefitinibは中止され（投与期間24ヶ月），2次治療はCDDP+PEMを4コース施行し，維持療法としてPEMを投与された．治療変更後に原発巣の増大はなかったが，胸水の増加を認めた．gefitinib中止後から胸水が増加しており，胸水検体のEGFR遺伝子変異検査ではL858Rが検出され，T790Mは検出されなかった．胸水コントロールについてはgefitinibの治療効果が期待され，維持療法のPEMにgefitinibを併用再投与された．治療変更後の胸水コントロールは良好であったが，治療変更3ヵ月後に病勢進行を認めた．EGFR遺伝子変異陽性肺癌はEGFR-TKIに感受性を示すが，最終的に耐性を獲得する．耐性獲得後の最適な治療法の確立のためにも耐性機序の原因診断は重要であると考える．