Ground Glass Noduleの適切な観察期間は? 切除の必要性は?

摘要

背景：胸部薄切CT所見上，変化のない，または緩徐な増大傾向を示すpure ground glass nodule（GGN）は肺癌の可能性が極めて高い．このような腫瘍の多くは病理学的には浸潤性に乏しく，実地臨床では患者への説明，切除のタイミングを含め，対応はcontroversial．経過観察を行ったGGNの特徴を明らかにし，切除しなくてもよい肺癌が存在するか検討．対象と方法：2009年から2013年に当院で胸部薄切CTを行い，2年間以上の経過観察を行って，変化がないか緩徐な増大傾向を示すGGN（consolidation tumor ratio＜0.5）を認めた70症例を対象．胸部薄切CTで腫瘍径が2mm以上増大またはconsolidation componentの出現，増大傾向を認めた症例をgrowing GGN（GGGN）．肺癌の治療歴，年齢，性差，CEA上昇の有無，腫瘍径，consolidation componentの有無，胸膜陥入の有無，不整形かどうかを比較検討項目．ロジスティック回帰分析を使用して，単変量?多変量解析施行．結果：観察期間は24-73.4か月，中央値は47.4か月．男性28例，女性42例，年齢の中央値67（35-83y）．GGGNの頻度は32.9%（23/70）．その予測因子は単変量解析で，年齢（p-value：0.002），腫瘍径（p-value：0.003），consolidationの有無（p-value：0.007），不整形（p-value：0.020），多変量解析で年齢（HR：1.091，CI：1.008-1.181，p-value：0.031），腫瘍径（HR：1.188，CI：1.004-1.405，p-value：0.044）において有意．65歳未満かつ腫瘍径10mm未満の症例ではGGGNの頻度は0%（0/21）．結語：GGGNの予測因子は年齢と腫瘍径である．65歳未満，10mm以下のGGNは2年間以上変化が認められなかったことから，胸部薄切CTによる観察期間は2年ごとでもよい可能性がある．ただし高齢者においては進行性GGNであっても余命に寄与しない可能性があり，長期経過観察による研究が必要である．