末梢神経回路形成の分子機構軸索反発因子セマフォリンとその受容体ニューロピリンによる制御

摘要

末梢神経回路はきわめて秩序立った定型的なパターンを示すため回路形成の機構を明らかにするよいモデル実験系で,数多くの研究がなされてきている.しかしながら,末梢神経回路の形成を制御する分子機構はまったく不明であった.ニューロピリン1は神経軸索反発因子セマフォリンDのレセプターである.ニューロピリン1遺伝子機能破壊マウス,セマフォリンD遺伝子機能破壊マウスでは末梢神経の走行束形成,投射が大幅に乱れることが示され,ニューロピリン1を介したセマフォリンDシグナルが末梢神経軸索の伸張方向を制限し,秩序だった分節的な末梢神経回路を生み出す重要な分子機構であることが明らかとなった.