高酸化度天然物の全合成戦略の開発：光化学的C(sp3)-H官能化を利用したラクタシスチン及びザラゴジン酸Cの全合成

摘要

自然界には，医薬品のシード/リード化合物とな る重要な生物活性天然物が数多く存在する.特に，sp3炭素に富hだ骨格上が，複数の極性官能基（ヒドロキシ基/アミノ基）によって高度に修飾された 複雑天然物（=官能基密集型天然物）は，特異か つ高選択的な生物活性を有する点で極めて重要であ る.換言すると，官能基密集型天然物の顕著な生物 活性は，極性官能基が水素結合ドナー及びァクセプ タ一の双方の役割を担い，タンパク質や核酸などの 生体高分子との三次元的多点相互作用を可能とする ことに起因する.