漢方薬と緘治療による左外転神経麻痺の治験例

摘要

本例は、続命湯と铖治療により特発性外転神経麻痺の治療を行つたものである。鉞治療は呂少杰らの成書を参考にして取穴を行い治療した。大庭正裕らは、例の外転神経麻痺の統計的観察を行い、原因は、外傷(17%)、血管障害(14%)、新生物(2%)、高血圧症(12%)、その他(11%)、感染(10%)、糖尿病(6%)、不明と報告している。本症例は、2力所の大学病院を受診しており、B大学神経内科で、高血圧症が存在するけれども特発性外転神経麻痺と診断されている。特発性外転神経麻痺は症状の自然軽快する例もあり、効果の判定は難しい場合がある。本例では、漢方薬と鉞治療を開始して後より、明らかな症状の改善をみたので、漢方薬と铖治療が有効であつたと考えられた。アムロジピンやロスパスタチンによる副作用の中には外転神経麻痺の記載は調べ得た限りでは無かった。