漢方医学の現状と将来2012

摘要

現在わが国では，8割以上の医師が何らかの漢方薬を処方しているとされるが，大多数の医師は，西洋医学の診断学で決定された病名にしたがって，新薬と同様の扱いで漢方薬を投与する。しかしそれでは，漢方薬の有効率は低く，効果も不十分であり，漢方医学の利点を生かすことができないために，西洋医学と漢方医学の統合による新しい医学の創造は不可能である。本卷頭言では，漢方医学の現状を概観し，今後漢方医学をどのように展開していくべきかについての戦略を論じたい。