「児科雑誌」に発表された仮称所謂脳膜炎（鉛毒性脳症)に関する研究の足跡(6)平井毓太郎による 原因究明後の諸研究（1923~1926)(前編）

摘要

1923 (大正12)年，平井毓太郎によって，乳幼 児の仮称所謂脳膜炎が母親の用いていた白粉，撒 布科等に含まれる鉛に起因することが究明された。これを契機に該疾患に関する研究が堰を切つ たように報告され，これらの大方は平井の説を支 持するものであった。ただし大久保直穆は亜鉛中 毒説，高洲謙一郎ほか二三の学者は疑義を唱えたが，何れも否定されて平井の鉛毒説は確立した。上述の経過についてはこれまで本誌に発表してき た。今回は上記の異説或は疑義と平井の応答等以外の報告のうち，時代を大正に区切り，1926 (大正15)年までの4年間に「児科雑誌」に発表 された所謂脳膜炎関連の論文等（原著，学会報告 ほか）について紹介し論考する。