PCOSの排卵障害ならびにインスリン抵抗性に関する研究　ラットモデルによる排卵障害，OHSSの研究とadiponectinからみたインスリン抵抗性の臨床研究

摘要

多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）は，多数の小卵胞が存在するが排卵が起こりにくいこと，またhMGによる排卵誘発の際に卵巣過剰刺激症候群（OHSS）になりやすいことなどが問題となるいPCOSの病態は必ずしも一様ではないが，高アンドロゲン血症のほか，近年はインスリン抵抗性が注目され，メタポリックシンドロームのリスクグループと考えられているい　 本研究では①ラットPCOモデルを用い，高アンドロゲン状態における排卵障害を卵胞壁の破壊酵素の一つであるmatrix metalloproteinase（MMP）L2と卵胞壁を強靭化する酵素であるlysyl oxidaseの発現の変化から検討し，また閉鎖卵胞に陥るメカニズムを，顆粒膜細胞のapoptosisと退行過程でみられる細胞外マトリックスのremodelingをmembrane type1-MMP（MT1－MMP）の発現から検討した．