多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）の卵胞発育障害におけるインヒビン·アクチビン系の関与

摘要

目的：多嚢胞卵巣症候群（PCOS）は，生殖年齢女性の数％に認められ，排卵障害の主要な病因となっている．本疾患は，単に排卵障害をきたすのみならず，インスリン抵抗性を示すことが多いことから，現在ではむしろ全身性疾患として捉えられることが多い．一方で，PCOSにおいて卵胞は￠5～8mm程度までは発育するものの，それ以降は停止してしまうが，その病態生理は未だ明らかになっていない．その解明を困難にしている理由として，他の動物では同様の病態を示さず，そのためヒトにおいて研究を進めていく必要があること，そしてその場合に，卵巣における検体量が微量であるために物質の定量的解析が困難であること等が挙げられる．