潜在的慢性肝疾患および肝硬変症例の拾い上げにおける 非侵襲的肝線維化指標FIB-4，APRIの有用性に関する検討

摘要

緒言：近年，B型? C型肝炎に対する抗ウイルス療法 の進歩に伴いウイルス排除や病勢コントロールが可能 となり，未受診者の拾い上げが重要となっている.一 方，非B非C型肝硬変の原因として非アルコール性脂 肪肝炎からの肝硬変の増加が注目されている.慢性 肝疾患は自覚症状を認めないことが多く，認識されな いまま進行し肝硬変や肝癌になって発見されることが ある.線維化の進行した慢性肝疾患患者は全例管理さ れるべきであり，自覚しないままの状態で潜在する患 者の拾い上げが重要である.肝線維化の程度を推測す る指標のうち，FIB-4 (fibrosis index based on the four factors ; Age [years] x AST [U/L]/platelets [10~9/ L] x (ALT[U/L]~(1/2)))~4)と APRI (aspartate aminotransferase to platelet ratio index ；100 x (AST level/upper limit of normal)/platelets [10~9/L])~5)は，一般的な血液 検査である血小板数とAST，ALTから算出でき，これ らの検査を実施した患者の検査結果に自動的に表示す ることが可能である.これらの簡便な肝線維化指標が， 慢性肝疾患および肝硬変の拾い上げに有用かどうか検 討した.