甲状腺結節性病変の診断と治療

摘要

1.「結節性甲状腺腫」ほ触診所見であり、あくまでも暫定的診断名である。 2．超宕波検査と穿刺吸引細胞診で悪性腫瘍あるいは炎症性病変と診断されたものを除外したのが狭義の結節性甲状腺腫（ここでほ濾胞性結節と呼ぶ〕である。 3．悪性腫瘍と判明すれば進行度の判定と組織型に応じた治療が行われる。 これについては本セミナーでは詳しくは述べない。 4「源胞性結節」の大部分は腺腫様結節、腺腫様甲状腺腫、あるいは源胸腺踵などの良性障瘍であるが、一部に濾胞痛が混じっている。 現時点でほ、手術して病理組織学的検査をしなけれほ、これらを確実に鑑別することはできない。 したが、つて、非手術例については、狭義の結節性甲状腺障（あるいは濾胞性結節）という暫定的診断名に留める。 5　 濾胞癌の術前診断ほしばしば難しい。 濾胞癌の可能性が高い濾胞性睦瘍（Follicular Tumor）は手術の適応である。6．その選別には、細胞診、超音波所見、血清サイログロブリン値、腫瘍径、および臨床経過を組み合わせて判断する。 詳細ほセミナーで述べる。 7．良性と思われる「濾胞性結節」の大部分ほ単に年1回程度の経過観察でよい。 経過観察でほ、触診、超畜波検査、血中サイログロブリン、サイログロブリン抗体、およびTSH、FT4の測定が行われる。 適切に診断された「濾胞性結節」が、経過観察中に悪性であると判明するのほ1-数%程度と低頻度である。 8．良性と思われる「濾胞性結節」であっても、圧迫症状があるもの、甲状腺機能亢進の原因であるもの、美容上患者が希望するものは治療の適応となる。 k隔に入るもの（縦隔　 甲状腺腫）ほ質診断と経過観察が容易ではなく、かつ症状を生じやすいので手術の適応である。9．良性と思われる「濾胞性結節」の治療としては、外科的切除のほかに経皮的アルコール注入療法（PEIT）も行われることがある。 機能性結節に対してはこれらのほかに放射性ヨード内用療法もある。 10.Lサイロキシソ投与によるTSH抑制療法が試為られることがあるが石効性は低い。心房細動、骨粗鬆症などの副作用と損得を勘案することが必要である。 本セミナーでほ上記のことを考慮した実際の診療の流れを説明する。