小児科開業医で経験したoccult bacteremia 23例の臨床的検討

摘要

occult bacteremiaの起炎菌とその頻度,および臨床所見を明らかにする.2002年11月から2003年10月までの期間,小児科開業医3施設において,(1)3-36カ月の免疫不全のない児(2)経過中の最高体温が39°C以上(3)全身状態が重篤でない(4)発熱のフォーカスが不明,の4条件がそろった場合全例に血液検査を行った.白血球数が15,000/mul以上の症例を対象として,血液培養を施行した上で抗菌薬を静脈内投与した.重篤な続発症がない限り治癒するまで外来通院で経過観察した.対象症例175例中23例(13.1%)で有意菌が検出され,occult bacteremiaと診断した.起炎菌のうち20例は肺炎球菌で,3例はインフルエンザ菌b型(以下Hib)であった.Occult bacteremiaと培養陰性例の間で,月齢,最高体温,白血球数,CRP値には差がなかったが,好中球数では有意な差があった.経過中Hibの1例で細菌性髄膜炎を,肺炎球菌の1例で右眼窩蜂巣炎を続発したが,治療により速やかに軽快した.海外の報告と同様,日本の小児科開業医を受診する発熱児の中にも肺炎球菌やHibのoccult bacteremiaの患児が存在し,ときに重篤な続発症を起こす.