小児救急医療体制充実化のための卜1」アージ·システムの専用性の検討

摘要

小児救急施設における院内トリアージ.システムの有効性を評価し，小児救急医療体制構築における意義を考察した．2002年3月から2005年3月までの37カ月間に国立成育医療センター救急センターを受診した114，704名の患者に対し，独自に策定したトリアージ·ガイドラインに基づく院内トリアージを実施した．トリアージ区分別の患者比率は，蘇生0．27％，緊急6．0％，準緊急31％，非緊急63％であった.トリアージ区分別の入院率は，蘇生88％，緊急43％，準緊急11％，非緊急0．97％であり，Cana－dianPaediatricTriageandAcuityScaleにおける予測入院率の水準を満たしていた.トリアージ.システムの導入により，少数の重症患者を，大多数の軽症患者群の中から有効に選別できた.結果，救急受診患者数がどhなに多くとも重症患者搬入を断ることなく，独歩来院の緊急患者を長時間待たすこともなく，必要な患者に必要な治療を的確に開始できた．また，救急車搬入など来院方法等による修飾をうけることもなく，緊急性を客観的に判断できた．トリアージ·システムの品質改善は重要な課題であり，ガイドライン策定からトリアージ·ナースの教育体制確立，前提となるBLSやPALSの啓蒙が，常に医師の指導監督下に行われるべきである．集約型地域小児医療施設が，小児集中治療部門のバックアップを背景に有効に展開するためには，その入口の救急センターにおける有効なトリアージ·システムの存在が，新しいコンセプトとして欠かせない．