「宇宙医学分野に寄与する衛生学研究」の総説シリーズ紹介第80回日本衛生学会学術総会に際し行った宇宙医学連携研究会活動のシンポジゥムから

摘要

宇宙医学とは，簡潔には「宇宙における人体の構造·機能の変化を研究し，その変化に対する治療·予防を開発する学問」と言えると思われる。宇宙において人体の構造·機能に変化を与える因子としては，一般的によく知られているのは微小重力（無重力）であるが，その他にも宇宙放射線への被曝，隔離閉鎖環境での生活による精神心理的ストレス，そしてさらにその閉鎖環境での化学的および生物学的因子などがあげられる。宇宙開発が進み，国際宇宙ステーシヨンが本格運用に入り，宇宙空間に常時，複数の国の飛行士が長期に滞在することになつた現在，宇宙環境と健康の係わりを研究し，宇宙飛行士の疾病予防や健康の保持増進をより効果的に行うことが重要な課題となってきている。