7,肺化膿症と肺膿瘍

摘要

肺化膿症は，化膿性病原菌により肺実質の壊死を伴い膿瘍を形成するものをいう.従来，痰の性状から肺膿瘍と肺壊疽に区別されていたが，1952年に篠井が両者をまとめ肺化膿症と統一した.本稿では肺化膿症の原因，診断，治療について概説する.基礎疾患の有無により原発性と続発性に分類され，原発性肺化膿症は明らかな誤嚥のリスクのある者，それまで健常であった者に発症した場合をいう.続発性は肺癌に伴うもの，後天性免疫不全症候群(AIDS)や移植後など免疫能が低下している者に発症し，原発性が全体の80%を占める.