超高齢者（91歳）前壁中隔穿孔の1例

摘要

はじめに社会の高齢化と手術成績の向上により，現在では高齢者に対する心臓大血管手術はめずらしくなくなつてきており，その安全I生も確立されつつある.今回われわれは，超高M (91 歳）に対する緊急手術を施行して，良好な結果が得られたので報告する.2009年4月下旬，午前8時ごろに胸痛を自覚し近医を受診した.心電図変化や採血結果で急性心筋梗塞と診断され，同日午前10時に当院へ紹介され搬送された.緊急心臓カテーテルを施行した結果，左前下行枝の完全閉塞を認め， 同部位に経皮的冠状動脈バル一ン拡張術(POBA) を施行し，造影遅延は認めたが，冠状動脈本幹は末梢まで造影されるまで改善した.その直後から血圧70 mmHg台のショック状態となり，左室造影を施行すると，左室心尖部から右室へのシャント血流が認められて心室中隔穿孔（VSP)と診断され，大動脈バルーンパンピング（IABP)留置後に当科に紹介された.