遷延性植物状態をきたした対称性大脳脚梗塞の1例

摘要

症例は64歳女性。 突然発症の軀幹の左への偏倚,構音障害で入院した。 翌日症状が悪化しMRIで延髄,橋に小梗塞出現が認められた。 脳血管撮影で吻側部脳底動脈狭窄を認め,急速に意識障害,弛緩性四肢麻痺に陥った。 MRIで大脳脚を中心とする対称性中脳梗塞が描出され,発生機序として脳底動脈遠位部閉塞が推察された。 発症後4週間で遷延性植物状態(PVS)をきたし, 1年経過後も症状の改善はみられなかった。 PVSは広範なテント上病変あるいは両側視床病変で生じることはよく知られているが,本症例ほ中脳を中心とする脳幹部梗塞でPVSをきたした点で極めて特異的である。