NTMobileにおける仮想IPv4アドレスの管理方式の提案と実装

摘要

NAT （Network Address Translation）を導入したネットワークでは，インターネット側の端末からNAT配下の端末に対して通信を開始できないというNAT越え問題が存在し，IPv4ネットワークの汎用性を損なう要因となっている．また，公共無線網の普及や携帯端末の発達により，移動しながら通信を行いたいという要求（移動透過性技術の要求）が増加している．我々は，NAT越えと移動透過性を同時に実現する技術としてNTMobile （Network Traversal with Mobility）を提案している．NTMobileでは，NTMobileの機能を実装した端末（NTM端末）に対して，実IPアドレスとして利用されないアドレス空間の中から一意な仮想IPv4アドレスを割り当てる必要がある．そのため，NTMobileの普及を想定した場合，十分な仮想IPv4アドレス数が確保できないという課題があった．そこで，本論文では自端末の仮想IPv4アドレスと通信相手の仮想IPv4アドレスを端末内部で自律的に生成する方式を提案する．端末内部で生成された仮想IPv4アドレスはNTMobileの通信を一意に識別するPath IDと関連付ける．以上の手法により，NTMobileの仮想IPv4アドレスに関する課題を解決することができる．提案方式を実装したNTM端末により動作検証および性能評価を行い，性能の劣化がほとhどなく実現できることを確認した．