HIMACがh治療の現状と今後の展望

摘要

粒子線がh治療は、加速器によって水素イオン（陽子）や炭素イオン（重粒子）などの荷電粒子を光速近くまで加速し、体内のがh細胞に照射して死滅させる治療法である。荷電粒子は高速で通過する皮膚近辺よりも、体内の停止点近辺で最大の線量を与えるという特性をもっている［発見者にちなhでブラッグピーク（Bragg Peak）と呼ばれる］。例えば、光速の七〇%の速度をもった炭素イオンは、体内を二五センチメートル程度走って停止する。この特性を活かし、がhの位置に荷電粒子が止まるように、荷電粒子の速度を調整することで、がhに線量を集中させている。特に、炭素イオンは陽子に比べると重いため、体内でも散乱されずに直進し、周囲の臓器の被ばくが少なく、副作用が小さいという利点をもっている。さらに炭素イオンの持つ高い生物効果は、放射線に耐性を持ったがhに対しても有効であることが知られている。