原子力との共生の今一地元の思いとは福井県、アジアの原子力人材の育成拠点に

摘要

福井における原子力との共生は、一九五六年四月に県内の経済界、大学、行政のトップが集まる「福井県原子力懇談会」を設置したことからスタートし、今年で六〇年目を迎える。原子力は必ず福井の産業振興と地域の発展に貢献するという希望から、原子力との“ご縁”が始まった。東京電力福島第一原子力発電所事故（以下、福島事故）以降、福井は、さまざまな課題に直面している。原子力事業者はもとより県民もまた事故後の影響から立ち直りたいと苦闘している。すべての原子力発電所が停止していることで、立地地域の経済は低下し雇用も悪くなるなど、深刻な影響を受けている。しかし福井は、これまでも度重なる事故故障等で風評被害を受けてきたが、その都度はね返してきた経験を有している。今回は、これまでとは比較にならないほど長く時間はかかっているが、福井は、原子力事業者とともにこの難局を乗り越え、立地地域を活性化しょうとしている。