OAM無線多重伝送における誘電体レンズを用いたビーム集光方法の実験評価

摘要

空間多重伝送技術の一つに，電磁波の軌道角運動量（Orbital Angular Momentum：OAM）モードを利用したOAM多重伝送がある．OAMモードは，ビームの進行方向に螺旋状の位相分布を形成する伝搬モードであり，螺旋の回転数，回転方向が異なるモード同士は互いに直交するため多重できる．しかしながら，OAMモードは伝搬に伴うビームの広がりが大きいため，長距離化が課題である．著者らは，OAM多重伝送を長距離化する方法として，誘電体レンズでビームを集光させる方法を提案している．本稿では，提案方法の有効性の検証を目的とし，28GHz帯において伝搬実験を実施する．伝搬実験を通して，提案方法によるOAMモード-2，-1，0，1，2の生成を確認するとともに，円形アレーアンテナ（Uniform Circular Array：UCA）による生成方法と提案方法の受信地点における強度分布を比較し，集光効果によるビーム広がりの低減と受信電力向上を実証する．