直列スタブを装荷したマイクロストリップ広帯域ブランチラインカプラ

摘要

近年，無線通信システムの高度化，多様化に伴い，広帯域／マルチバンド動作する受動回路素子の研究開発が求められている．本論文では，終端開放直列スタブを外部整合回路として用い，これをマイクロストリップ線路構成で実現し，広帯域ブランチラインカプラの設計法を検討している．本論文で扱う回路は，2重鏡像対称性を有していることから，設計法として等価アドミタンス法を適用できる．直列スタブを整合回路として用いた結果，約30％の比帯域幅に亘って反射とアイソレーションが-20dB以下という良好な特性が実現されており，従来の整合回路無しのブランチラインカブラのそれの3倍程度の値となっている．更に，任意電力分配比の広帯域ブランチラインカプラについても検討を行い，電力分配比R＝1～5において比帯域幅30％以上が得られている．提案構造の直列スタブはマイクロストリップ線路を2重構造にすることで入出力線路内に実現しており，回路の占有面積の低減が可能と考えられる．最後に，電磁界シミュレータと試作実験により設計法の妥当性を確認している．