周期開放スタブを装荷した広帯域ブランチラインカブラの小型化

摘要

ブランチラインカブラはマイクロ波信号を90度の出力位相差に分配する回路で，バランス型増幅器やミキサ，アンテナ給電回路などマイクロ波回路システムで幅広く用いられる重要な回路素子のーつである.しかし，分布定数線路理論に基づいて1/4波長線路で構成される原型回路では，反射/アイソレーション特性が-20dB以下となる比帯域幅が約10%と比較的狭帯域な特性となり，応用できるアプリケーションが制限されてしまう.この問題を解決する手法として，多段ブランチライン構造や外部整合回路による広帯域整合法など様々な広帯域設計法が提案されている.多段ブランチライン構造は，分岐線路部の段数を増やすことにより，反射/アイソレーション特性の広帯域化を図つているが，中心周波数から離れると分配特性が平坦にならないという欠点がある.一方，外部整合回路による広帯域整合法は各入出力ポートに外部回路を接続することから回路面積が大型化してしまうが，動作周波数範囲内で分配特性が平坦になるという特長を有する.著者らはSバンドゃXバンドにおいて直列スタブや終端開放の結合線路を外部整合回路として装荷した広帯域/3周波整合3dBブランチラインカブラを既に報告している.