超短パルスX線源の開発－電解質水溶液を用いたフェムト秒近赤外レーザーからパルスX線への波長変換

摘要

Wilhelm Conrad Rontgen博士が真空管から発する未知の光であるX線を発見したのは，1895年11 月8日金曜日の夕刻のことだといわれている．以来，X線が構造解析やXPS等の様々な分析手法や励起光のための光源としてこれまでに果たしてきた役割は極めて大きい．他方，1960年に開発されたレーザーは主に紫外，可視，近赤外における光源として，物理，化学，分光学，エレクトロニクス，計測，通信，情報処理，エネルギー科学，材料科学，医学·生命科学など多様な分野で多大な貢献をしてきた．レーザーの特徴は，短パルス性，高輝度，単色性，高コヒーレンス性などが挙げられる．なかでも短パルス化については，モード同期技術やTi:saphhire結晶の登場で飛躍的に進展し，パルス幅はフェムト砂に達しているのはよく知られており，フェムト砂レーザーパルスを用いることで位相緩和，分子内振動緩和，電子移動などの超高速現象に対する理解は深まってきている．