壁面緑化の意義と技術的課題について

摘要

都市のヒートアイランド現象の緩和等今後持続的にわが国の都市を発展させていく上で「環境保全」は避けて通ることのできない重要なキーワードの→つであることに異論はないと思われる。 コンクリートやアスファルトにより人口被覆された都市部において，地表面被覆を改善し，人間の居住環境として安定した温熱環境を維持し，都市住民に良好な都市環境を創出し，回復していく手だてとして都市緑化の推進が必要であり，壁面緑化は高度な土地利用と建築群が集積する市街地中心部等において有力な緑化のツールとなることが期待される。 ヒートアイランド対策のためのシミュレーションによる評価技術の開発において，要素技術としての都市緑化による環境改善の具体的な効果について，植物の蒸散や放射熱の緩和等の定量的な基礎的データの蓄積は未だ十分とは言えない。 このような社会的背景や研究開発状況等を踏まえ，現在独立行政法人建築研究所では，壁面緑化などによる温熱環境改善効果についての実験計測，定量的評価技術の開発等に取り組hでいる。 次号では，これらの研究成果の一端について紹介することとしたい。