翼型上に生ずる層流剥離泡

摘要

翼型等の物体まわりの流れ場において，境界層が層流剥離した後，剥離剪断層内において乱流遷移を起こし物体表面に再付着する場合がある．この層流剥離点と再付着点の間の剥離域は層流剥離泡（Laminar separation bubble，又は単にbubble）と呼ばれている．翼型上に生ずる層流剥離泡にはshort bubbleとlong bubbleの二種類が存在する．翼型の迎角を大きくするにつれて長さを縮めながら前縁方向へ移動する剥離泡をshort bubble，再付着点位置を後棒方向へ移動しながら長さを伸ばす剥離泡をlong bubbleと呼hでいる．二種のbubbleの性質は，表面圧力分布に関しても異なっている．short bubbleは翼型全体にわたるpotential flow としての圧力分布には余り影響を与えず，Suction peakの後方で層流剥離した後，局所的に圧力がほぼ一定の領域をつくり，その後急激な圧力回復を起こして再付着に達する圧力分布を示す．これに対してlong bubbleは，非粘性流理論より得られる圧力分布とは大きく異なった分布を示し，suction peakがほとhど失われ，その後方で圧力回復を徐々に起こしながら再付着する圧力分布を示す（図1）．