高速舶用主機関の排出ガス規制対応

摘要

近年の世界的な地球環境保全に対する世論の高まりと大気汚染による健康面への影響懸念などにより，内燃機関から排出されるガスの特定物質に対して規制が検討·施行されている。 2005年5月19日，船舶からの大気汚染等を防止する国際条約であるMARPOL条約附属書IVが発効された。国内においてもこの条約を担保する目的で海洋汚染防止法が改正され，船舶に搭載されるディーゼル機関の窒素酸化物(NO{sub}x)の排出規制が施行された。 2005年は国内で初めて舶用排出ガス規制が本格的にスタートした年であり，今後舶用業界にも規制強化の波が押し寄せてくることを予感させる出来事であった。 また最近では，米国·欧州それぞれにおいて舶用エンジンの次期規制の検討が進められている。 一般的に，マーケットニーズである機関性能の向上およびライフサイクルコストの削減は，排出ガス低減と相反的な関係にあり，その両立は内燃機関の開発において重要な課題の一つである。 本稿では，ヤンマーの商品を中心に，シリンダ径がΦ80～150mmクラスのいわゆる高速舶用主機関を例にとって，要求品質·規制動向·排出ガス低減技術の概略について簡単に解説する。