直接噴射式ディーゼル機関の壁面熱損失に関する研究（雰囲気酸素体積分率が対流と輻射熱伝達に与える影響）

摘要

著者らは，ディーゼル機関の圧縮から膨張行程までを単発で再現し，実機では困難な各種実験条件の独立制御が可能な急速圧縮膨張装置を用いて，雰囲気条件や筒内流動条件，燃料噴射条件をそれぞれ独立に変化させ，噴霧火炎の燃焼特性と燃焼室内の流動が壁面熱損失に及ぼす影響を，対流と輻射の両観点から調べてきた。 本稿では，近年のディーゼル機関における必須の排気浄化技術となっている排気再循環(EGR)が壁面熱損失に与える影響を明らかにすることを目的に，全熱損失量，局所全熱流束，輻射熱流束などを測定し，火炎温度と燃料噴霧特性に着目して，雰囲気酸素体積分率が壁面熱損失に与える影響を調べた結果について述べる。