ロケット推進系の現状と今後の展望

摘要

宇宙ロケット時代の幕開けは，1957年に当時のソ連によりスプートニク1号が打ち上げられて始まり，人類初の有人宇宙飛行からアポロ計画を経て現在のアメリカのスペースシャトルまで，驚異的な発展を見せてきた。 しかしながら，未だロケット推進技術は航空機のように成熟した技術とはいえず，世界各国でロケット打ち上げの成功率を現在の95％前後から向上させる取り組みが続けられている。 我が国の宇宙ロケットは，1955年のペンシルロケットの打ち上げから始まり，2007年2月のH-II Aロケット12号機の成功により，H-II Aシリーズの打ち上げ成功実績を92％まで高め，ようやく欧米のロケットの成功率と肩を並べるところまで追いついてきたところである。 本稿では，特に現在日本で開発が進められているH-II Aなどの液酸／液水ロケット推進系，LNG推進系および固体ロケット等について推進薬という観点から技術比較をするとともに，今後の日本の宇宙輸送系開発の展望について，信頼性向上に対する取り組みを交え紹介する。