アジア／世界のエネルギー需給の見通し

摘要

モータリゼーションの進展に伴う石油消費の増大は，今後のアジアのエネルギー需給構造を特徴付ける大きな要因である。2030年にはアジアの自動車保有台数は北米を凌ぎ，で欧州に匹敵する規模にまで拡大する。 中でも中国の自動車保有台数は2030年に約2億3300万台に達するが，保有率で見ると人口千人あたり157台に過ぎない。 OECD諸国の保有率が1971年で263台であったことと比較すると依然として低水準にある（図5）。 自動車は，家電製品と同様に生活水準の向上を具現する最もシンボリックな財の一つであり，アジアの発展途上国におけるモータリゼーションの進展は，経済発展を背景として必然的な流れになりつつある。 すなわち，中国，インドを中心とするアジア諸国は2030年以降もモータリゼーション拡大の潜在力を有しており，燃料消費の増加に伴う国際石油市場へのインパクト，あるいは地球温暖化対策に及ぼす影響が極めて大きいことが予測される。 この意味から，自動車の生産者に対してはさらなる燃費効率の向上，石油消費·排出ガス削減に向けての一層の努力が求められよう。