小型木質バイオマスガス化発電の開発

摘要

近年、バイオマス資源のエネルギー利用に関する注目が高くなっている。 バイオマスにはさまざまな原料が挙げられるが、著者らは木質バイオマスに注目している。 さらに木質バイオマスを用いる発電は、原料の収集規模に応じてさまざまな利用方法がある。現在、木質バイオマスのエネルギー利用について、実証実験なども多く進められており、今後より導入が進められると予測される。 木質バイオマスは、太陽光を用いて光合成する植物の営みにより製造される。 したがって、太陽からの光のエネルギーの一部が変換された集約されたものであり、再生可能エネルギーであると同時に、物理的に広範囲に分散して存在している。この点が集中して存在し容易に精製できる化石燃料と大きく異なる。 化石燃料による従来のエネルギー供給システムは、大型化により効率を向上させているが、バイオマス利用によるエネルギーシステムは原料の集約もしくは分散状況にあわせた最適化が必要であると著者らは考えている。 また、化石燃料であれば、安定した品質を持ちある条件について高度な制御を用いることで変換装置の高い効率を引き出すことができるが、バイオマスは多種多様であり、利用可能なさまざまな原料にも対応すべきである。 このような考えに基づきバイオマス利用の選択肢を広げるため、著者らは翦定枝や製材屑などを利用することを目的とし、小型でもっともシンプルな固定床式ガス化炉に注目している。 原料収集が低コストで可能な小型炉は、小規模エネルギー利用に最適と考えられる。 本報告では、小規模の利用を目的として固定床式ガス化炉についての実験結果について報告する。