わが国の家庭分野における太陽熱利用の現状と課題

摘要

世界の太陽熱利用機器の販売量は順調に推移して2007年には2,830万m~2となっている。このうち中国が75％を超え、欧州では約11％（300万m~2）を占めている。中国では経済発展による生活程度の向上に伴うエネルギー需要の増加やエネルギー供給の脆弱性により急速に増加してきた。最近、中国では12階以下の建物に太陽熱利用機器の設置義務を設けている省もある。ヨーロッパでは設置義務や投資支援、税制優遇など複数の政策を組み合わせて市場を拡大している国が多い。ドイツでは、太陽電池は固定価格買取制度、太陽熱利用は投資支援金や自然エネルギー熱利用の義務化などを行って市場を増加している。太陽熱利用は投資コストが少なく、省エネ·CO_2削減効果の高い貴重なエネルギーであり各国が普及に力を入れている。これに対し日本は太陽熱利用に対する国の目立った支援がなく、最近の販売量は全世界のわずか1％程度に過ぎないほど低迷している。