数値流体力学(CFD)解析を用いた漁具の流体力特性に関する研究

摘要

漁具の分野では、水槽実験によって研究·開発が行われるのが一般的であり、これまでに多数の研究が行われてきた。しかし、水槽実験では、模型作成にかかる時間的、費用的な制限から試行回数は限られ、厳密な設計を行うのは困難であった。一方で、近年の著しいコンピュータ性能の向上に伴い、シミュレーション技術に関する研究が盛hに行われており、漁具設計においてもコンピュータシミュレーションが用いられるようになった。この中で、著者は、漁具設計の自由度の向上及び効率化を目的として、数値流体力学解析（CFD； Computational Fluid Dynamics)を用いて漁具の流体力特性や設計手法に関する研究を行ってきた。CFD解析とは流体の運動方程式であるNavier-Stokes方程式をコンピュータ上で解き、流体の流れを解析するシミュレーション手法であり、工学の分野では既に広く利用されている。ここでは、CFD解析を用いた漁具の流体力特性に関する研究事例として、底びき網漁業を対象とし、オッターボード、網地の解析例を紹介する。さらに、以上の研究を踏まえて、今後の展望として底びき網漁業のシステム全体を考慮した漁具設計の可能性について述べる。