マンガンに富む付着物の生成メカニズム

摘要

銅合金復水器管のマンガン（Mn）に富む付着物は塩素処理下での異常潰食の発生に関与すると考えられている．我々はこの付着物の生成メカニズムを解明するために，TT発電所のマンガンに富む付着物と海水，底質の表層立とを分析した．海水は30μg/lの可溶性Mn，2.4×10~4 CFU/mlのMn酸化細菌を含hでいた．付着物は18％の不溶解性Mn，2.6×10~7 CFU/g-d·WのMn酸化細菌を含hでいた．付着物から分離したMn酸化細菌を簡易同定した結果，これらはすべてPeudoalteromonas属細菌であり，生物皮膜形成細菌として知られでいるものやある．底質より分離したMnマンガン酸化細菌とは異なるものであった．付着物より分離のMn酸稚細菌を加えた海氷を通水したモデルコンデンサ試験により，Mnに富む付着物を復水器管に再現ずることができた．このことから，海氷使用復水器管のマンガンに富む付着物の生成メカニズムとしては，まず海水中から復水器管に流入したMn酸化細菌が，管内面に生物皮膜を形成し，この生物皮膜中のMn酸化細菌がMn酸化を行うことにより，結果的にMnに富む付着物が生じることが判明した．