マッド材に含有されるカーボンブラックの特性が高炉出銑孔へのマッド材充填圧力に与える影響

摘要

高炉の出銑孔へのマッド材の充填圧力について検討するために，マッド材のせh断荷重を評価した。せh断試験は，2分割した円筒金型にマッド材を充填し,金型をずらせることでマッド材をせh断,その際の荷重を測定することで行い，最大荷重をせh断荷重とした。 せh断試験はマッド材を充填した金型を高温雰囲気中に保持して実施することが可能である。 せh断荷重は,本報で試験した範囲では，従来からマッド材の変形を評価する指標として用いられてきたマーシヤル試験による押し出し荷重と直線関係にあり，同等な値として取り扱えることを確認した。 本報では,ストラクチャー（凝集の発達度合い）の異なるカーボンブラックを配合し，それぞれ添加タール量を変化させたマッド材について70°Cと300°Cでのせh断試験を行い，せh断荷重を比較,解析した。 その結果,70°Cでのせh断荷重が同等でも,ストラクチャーの高い（凝集の発達した）カーボンブラックを配合したマッド材は300°Cにおけるせh断荷重が小さくなることがわかった。 また、案出銑孔の充填圧力との比較から，充填圧力は300°Cにおけるせh断荷重と対応していることがわかった。これは，実出銑孔の充填においてクマッド材のバインダー/分散媒であるタールが最も低い粘度を示す温度域の部分が主に流動しているという推定で説明可能である。