新規調湿材料の開発と調湿建材への応用

摘要

安価な高性能無機系吸放湿材の開発に成功したとの発表が2008年に産業技術総合研究所のホームページでプレスリリースされた．以前よりケイ酸塩ナノチューブであるイモゴライトの工業的合成を取り組hでいた戸田工業株式会社は，この高性能無機系吸放湿材を工業的にも利用可能なまでの安定供給体制を実現し，大量生産レベルの合成技術を確立するため，産業技術総合研究所との共同研究を締結し，2009年には製造販売を可能とすることができた．当初はデシカント空調システム用への利用を想定していたが，需要拡大に向けた新たな用途開発を目的とし調湿建材への応用に関して，産業技術総合研究所との共同研究を引き続き行った．本稿では，イモゴライトの大量合成技術を契機に始まった新規調湿材料開発の概要を紹介する．