浅層における地中熱物性の簡易推定に関する研究: 太陽エネルギーを熱源とした周期加熱法による地中熱拡散率の評価

摘要

地下10～数100m程度の地中熱は，太陽エネルギーからの熱エネルギーを受け，通年ほぼ一定温度の膨大な熱容量を有する再生可能エネルギーの一つとして注目されている．しかしながら，温度レベルがその土地の平均気温程度の質の低いエネルギーになるため，発電などに用いられるほどの高いエネルギーレベルでは無い．したがって，発電用熱源としてではなく，快適な住環境設計に必要不可欠な空気調和機器（エアコン）や給湯などの熱源として用いることが有用と考えられる．この地中熱を利用したシステムの一つに地中熱ヒートポンプがあり，日本国内では2001年以降に普及し始め，地中熱ヒートポンプの導入事例のほとhどが北海道および東北地区や積雪の多い日本海側の地区である．一般的なエアコンは室外ユニット設置場所の温度が-15°C以下の環境になると使用できないことや寒冷地では除霜運転による性能低下が起こることに対して，通年ほぼ一定温度の地中熱を利用する地中熱ヒートポンプシステムは外気温の影響を受けないことがその導入理由として考えられる．