含水多孔質体を用いた迅速過熱水蒸気発生器の開発

摘要

過熱水蒸気は，乾燥，殺菌，調理，洗浄等への幅広い応用の可能性から，昨今高い関心が持たれている。過熱水蒸気の生成には，通常はボイラーと過熱器が必要であり，機器の熱容量のため迅速な過熱水蒸気の生成·停止は困難である。そこで著者らは含水多孔質体を用い，これに接触する発熱体の熱容量を極力小さくし，常温の水から数秒で300°Cの過熱水蒸気を生成させる手法を提案している。本生成器の性能向上を達成するためには過熱水蒸気急速生成メカニズムを解明することは勿論のこと，実用化する場合には水質の影響，すなわち蒸発面にスケールが発生することが懸念されるため，その影響も明確にしておくことも重要である。本報では，それらについて検討した結果について述べる。