エンジン摺動部品へのテクスチャリング

摘要

EUの試算では，中·小型車がすベて電気自動車になった場合，ラクイラサミットの決議を達成するためには，発電の96～99%が炭素フリーでなければならないとのことである．我が国のエネルギーミックス案によると2030年においても6割前後が石炭や天然ガスによる発電となりそうである．それ以前に，我が国に限らず発電の9割以上を炭素フリーとすることはかなり困難であろう．このことを考えると，エンジンの燃費低減は今後も重要な課題であり続けると考えられる．エンジン各部の摩擦損失は，とくに部分負荷時の燃費低減に有効である．図1にエンジンのエネルギーバランスの概念図を示す．高負荷域ではエンジンが消費した全エネルギー量中に摩擦損失が占める割合は低いが，中·低負荷域では大きな割合を占める．そのためこのような運転領域では，摩擦損失低減の効果が燃費に現れやすい．