ポリアセタール樹脂(POM)の特徴と摺動部品への適用

摘要

ポリアセタール樹脂（以降POM）は商品化されてから約50年以上の年月が経過しているが，樹脂の製品サイクルとしては比較的長い。これはPOMが機械部品に必要な特性をバランス良く備えつつ，妥当なコストで供給でき，これに代わる樹脂がいまだ登場していないからにはかならない。歯車はPOMが適した機械部品の典型であり，いまだ樹脂歯車の大半はPOM製である。一昨年精密工学会／プラスチック歯車研究専門委員会が実施したプラスチック歯車の動向調査でも，いまだ樹脂歯車の大半はPOM製であることが分かっている。使用される分野としては多岐にわたっているが，近年では電動アシスト自転車，介護ベッドなど新しい分野へ応用範囲をさらに広げつつある。本稿では，POMが歯車に適している理由を述べるともに，メーカーから販売されているPOM各グレードの適用め留意点について述べる。