シール技術：建設機械における油圧シリンダ用シールの技術動向

摘要

建築、土木、掘削などの用途に利用される油圧ショベル、ブルドーザ、ダンプ、ローダなど建設機械は、非常に大きな力を必要とし、その作業には油圧シリンダが利用される。 油圧シリンダは直進運動用アクチュエータであり、その基本構造を図1に示す。 油圧シリンダにおける主なシールは、ピストン部とロッド部において使用されている。 ピストンシールは、シリンダ内壁と対になり、ピストン前後の部屋を隔てるとともに軸受の役目を果たし、シリンダに推力を与えたり、保持する役割を持つ。 ロッドシールは、ロッドと対となり外界との遮断の役目を果たし、外部ダストの侵入とシリンダ内作動油の外部への漏れを防止する役割を持つ。ピストンシールの損傷は、内部油漏れとなり、強大な油圧の力を伝達できず、往復運動するという油圧シリンダの主機能を果たせなくなる。 ロッドシールの損傷は、そのまま外部油漏れとなってしまい、機能低下のみでなく環境に影響を及ぼす。 シールは、他の構成部品に比べ安価でありながら、油圧シリンダにとって重要機能部品であるということは今も昔も変わらない事実である。 油圧シリンダ用シールの改善事例を紹介して、最近の技術動向を述べる。