究極的非球面レンズ用金型加工

摘要

1980年代前半に，非球面レンズ用金型加工が産業として登場し，現在に至るまで日本の超精密加工産業の代表例として飛躍的な発展を遂げた。超精密加工機はこの要求に応えるため，測定器などの周辺装置と合わせて高精度，高性能化が図られてきた。例えば，単結晶ダイヤモンド工具を用いた軸対称非球面レンズ用金型の切削加工では，形状精度PV100nm以下，面粗さRa5nm以下が標準的に得られるようになっている。本稿のテーマである究極的非球面レンズ用金型加工を考えた場合，これら形状精度や面粗さをどこまで追求することができるかということも重要であるが，一方で加工技術や生産技術に対する十分な検討を行うことができず，高品位な光学部品用金型の加工が確立されていないアプリケーションも多く存在する。そこで本稿では，非球面レンズ用金型加工における新しい展開として，高度化が図られた機械技術を応用した事例をいくつか紹介する。