100Gb/s級PONシステムに向けたデジタルコヒーレント伝送技術

摘要

PONシステムの標準化を進めるInstitute of Electrical and Electronics Engineers（IEEE）802.3caでは，現在，波長当たり25Gb/s強度変調直接検波方式（IMDD）の信号を2波長多重する構成の50Gb/s Ethernet PONの標準化を完了しつつある。5Gおよび将来のBeyond 5Gを支える次世代のPONシステムの実現に向けては，さらなる波長当たりの大容量化が必要となるが，従来のIMDD技術を基本としたPONシステムでは，大容量化と既存の光アクセスネットワークから要求される29dBといつた高い損失バジェットを同時に満足することが困難である。そこで，新しい光変復調方式とそれを活用した波長当たり100Gb/s級のPONシステムが期待されている。本稿では，PONシステムの大容量化を実現する光変調方式の技術動向についてまとめ，基幹系大容量光通信システムにおいて広く適用されているデジタルコヒーレント方式の，PONシステムへの適用検討について紹介する。特に，デジタルコヒーレント方式をPONシステムへ適用する際に必要となる低消費電力化に向けて，受信デジタル信号処理（DSP）の計算量を削減する方式について，100Gb/s-波長分割多重（WDM）-PONシステムの実験結果とともに紹介する。