高出力シングルモードファイバレーザと加工への応用

摘要

高出力レーザを用いた加工は，様々な産業分野において機械加工と並ぶ主要な加工手段となっている。従来より加工に用いられてきたレーザはCO_2レーザなどの気体レーザであるが，近年ではより高いビーム品質とエネルギー変換効率を持つファイパレーザが，徐々にシェアを広げながらレーザ加工市場の拡大を牽引している。加工点までファイバ伝送が可能である点，小型·軽量かつ信頼性が高い点などもファイバレーザの特徴である。そして現在では加工高速化のニーズに応える形で，10kWを超える高出力ファイバレーザが市場に導入され始めている。シングルモードファイバレーザは回折限界に近い良好なビーム品質が得られ，高いエネルギー密度，小さな集光径，深い焦点深度等を活かして様々な加工を行うことができる。切断加工においては微細かつ低熱影響の加工が実現でき，溶接加工においては深い溶け込みを得ることができる。エネルギー密度の高さを活かして，アルミニウムや銅などの高反射材の加工を高速·高精度で行うことができるのも大きな特徴である。さらにガルバノスキャナと組み合わせれば，焦点深度の深さを利用して高速リモート加工を行うことも可能である。本稿では高出力シングルモードファイバレーザとその加工応用について，実例を交えつつ紹介する。